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トリケラトプス展4

篠山層群から見つかる植物化石について説明します。

ジュラ紀後期から白亜紀前期(約1億6000万~1億年前)の東アジアには、
大きく分けて2つの植生が広がっていました。それらが生育した地域は
それぞれシベリア植物区とゴンドワナ植物区と呼ばれます。
シベリア植物区はゴンドワナ植物区よりも北側にあり、両植物区の境界は、
気候変動に反応して、古北緯30~40度付近を上下していました。

スフェノプテリスの葉の化石

シベリア植物区には、イチョウ類、大きな葉をつけるベネチテス類や針葉樹類、
多様なシダ類などが生育し、温帯気候(または冬雨型の気候)が広がっていました。
一方、ゴンドワナ植物区には、小さくて厚い葉をつけるベネチテス類や
針葉樹類などが生育し、乾期を伴う気候が広がっていました。
ちなみに、サボテンのような多肉植物を想像すると分かりやすいですが、
気候が乾燥すると植物の体は厚ぼったくなり、葉は小さくなります。

シュードフレネロプシスの枝の化石

この時期、日本列島(とは言っても、まだ現在のような姿はしていません)は
両植物地理区の境界付近にありました。この時期に日本に生息していた植物群は
手取型と領石型に分けられます。
それぞれ手取型はシベリア型、領石型はゴンドワナ型の植生に対応します。

手取型植物群は本州中部の北部に分布する手取層群から見つかり、
領石型植物群は太平洋岸に露出する堆積物から見つかります。
しかし、1億3000万~1億1200万年前になると、
手取層群から見つかる植物化石の中にもゴンドワナ型植生に
特徴的な小さくて厚い葉を持つ針葉樹類が、
シベリア型の植物に混ざって見つかるようになります。
そのため、この頃には両植物群の境界が、
それ以前よりもやや北側に移動してきたと考えられています。

ブラキフィルム 葉の化石

篠山層群は約1億1200万~1億年前に堆積した地層で、
その中には乾燥した気候下で堆積した地層に特有の特徴や構造が観察されます。
例えば、赤色岩相(熱帯の赤土をイメージするとわかりやすいです)や
乾裂(乾いた泥にできる割れ目)などです。
私たちは、篠山層群上部層(約1億年前)から産出する植物化石を調査しましたが、
革質の厚い葉をもつオトザミテス(ベネチテス類)や、
小さくて厚い葉をもつブラキフィルム、シュードフレネロプシス、
キュプレシノクレダスなどの針葉樹類(球果類)が見つかりました。
特にシュードフレネロプシスが多産しますが、
この植物はわずか数ミリメートルの小さな葉をもち、
非常に乾燥に強かったと考えられています。

つまり、篠山層群が堆積した篠山盆地には当時、地層の特徴から推測される通り、
乾燥に強いゴンドワナ型の植物が生息していたようです。
また、篠山層群から見つかる植物化石は、韓国や中国東北部に分布する
約1億1200万~1億年前頃の地層から、同じか近縁と思われる種が見つかっています。
この時期、両植物区の境界は古北緯40度以北にあったのでしょう。

オトザミテスの化石

白亜紀前期は被子植物が出現・多様化した時代であり、日本最古の被子植物化石は
和歌山県に分布する1億2500万年前の地層から見つかった花粉化石です。
しかし、日本において被子植物が普通に見られるようになるのは
1億年前より後の時代で、それより古い時代の化石はこの花粉化石を含めて
数種しか知られていません。篠山層群でも血眼になって被子植物の化石を探しましたが、
自信をもって被子植物と言える化石は一点も得られませんでした。(T.Y.)

ベーリング陸橋を渡ってララミディア大陸へ進出したコロノサウリア類

ララミディア大陸への進出

ズニケラトプス Zuniceratops

ズニケラトプスは、アメリカ・ニューメキシコ州の白亜紀後期
チューロニアン(およそ9000万年前)の地層のモレノヒル層から
見つかった全長2~3mほどのネオケラトプシア類です。
北アメリカのララミディア大陸における
ケラトプシア類の最古の化石記録です。

ズニケラトプス 全身骨格

属名はネイティブアメリカンのズーニー属にちなんで名付けられました。
モレノヒル層から見つかる他の大型植物食恐竜として、
テリジノサウルス上科や大型鳥脚類の仲間が知られています。

ズニケラトプス 解説

ズニケラトプスは、ネオケラトプシア類の中でも、
後の時代の大型ケラトプシア類であるケラトプス科に
最も近縁な仲間のひとつです。
ケラトプス科とともにケラトプス上科を構成しています。
ズニケラトプスは、ケラトシア類としては
目の上に一対の長い角を備えた最初の種です。
この特徴はケラトプス科恐竜に受け継がれていきました。

プロトケラトプス 亜成体の頭骨

プロトケラトプス亜成体の頭骨です。
イーロンから7000万年後に、ようやくケラトプシア類の中に角を持つ恐竜が現れました。
トリケラトプス展の様子は、後日、必ず書きます。
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Comments







非公開コメント
こういう化石 見つけてみたいですね
化石や 石がすごく好きで 小学生の頃 いろいろ探してました。 (貝ばっかりです ><)
しかし いつもながら すごく詳しく書かれてますね これだけ書かれるの 大変だと思います ^^ ← 僕のは 擬音がやたら多いですから 楽です ^^

  駐在おやじ
2021-08-19-16:36 駐在おやじ
[ 返信 ]
らいとNGC7000
駐在おやじさんへ

コメントありがとうございました。

恐竜の化石を発見したら、大ニュースです。^^

私も植物や貝の化石は見つけたことがあるのですが、
爬虫類や昆虫を見つけられたらうれしいでしょうね。
琥珀の中の虫を見つけるのも面白いですよ。

恐竜の記事は、当時の190ページあるトリケラトプス展のパンフレット、
私が持っている2019年以降の最新の恐竜の本から書いています。
古い本は読む側としてはとても面白いんですが、
当時の説の場合もありますので、新しい本を材料に書いています。
2021-08-19-17:12 らいとNGC7000
[ 返信 * 編集 ]