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トリケラトプス展9

トリケラトプスの天下統一

恐竜時代の最後、白亜紀後期のマーストリヒチアンに、ケラトプス科の中から、最大級の仲間トリケラトプスが満を持して頭角をあらわしました。これまで様々なケラトプス科が登場しては消えていき、様々な領主により分断されたララミディア大陸の統一を、トリケラトプスがついに果たします。トリケラトプスはアルバータからコロラドまで広く分布を広げました。しかし、マーストリヒチアンの最後の6600万年前、ケラトプス科の頂点を極め、天下統一を果たしたトリケラトプスは、恐竜時代のピリオドとなる最後の恐竜となってしまいました。この時、トリケラトプスを含む恐竜たちはすべて絶滅し、次の時代に新たな競争を繰り広げることになる植物食性の哺乳類の時代が幕を開けることになるのです。(S.F.)

トリケラトプスの天下統一

最後に登場したトリケラトプス

トリケラトプス Triceratops

トリケラトプス

トリケラトプスは全長5~6mとサイよりもやや大型の大型植物食恐竜で、
ケラトプス科カスモサウルス亜科に分類されます。
学名の由来は「3本の角のある顏」であり、その名の通り、
吻部(ふんぶ)にひとつと、目の上にそれぞれいとつずつ、計3本の角がありました。

トリケラトプス

同時代に生息していた捕食者ティラノサウルスと成体の大きさを比べると、
トリケラトプスの体の長さはティラノサウルスの半分ほどですが、
頭骨の大きさではティラノサウルスを上回ります。

トリケラトプスは幼体から成体まで見つかっており、成長とともに、
角の向きや相対的な長さ、頭骨の骨の癒合(ゆごう:骨と骨がくっついて
ひとつの塊になること)の度合いが変化していくことが知られています。

トリケラトプス

他のカスモサウルス亜科では、フリルの頭頂骨に大きな穴が一対開いていますが、
トリケラトプスではこの穴が見られないのが特徴です。
また、鼻の上に伸びる角を構成する骨が、トリケラトプスと他のケラトプス科で
異なります。他のケラトプス科では、鼻の上の角は鼻骨という骨の一部が
伸びたものですが、トリケラトプスの場合、他のケラトプス科には
見られない骨が新たに形成され、それが鼻の上の角の芯となっています。

トリケラトプス

トリケラトプス属はかつて十数種も記載されてきましたが、現在では
トリケラトプス・ホリドゥスとトリケラトプス・プロルススの2種が
有効な種であると考える研究者が多いです。

トリケラトプス・ホーマー

また、かつてトリケラトプス・ハッチャーライとされた、目の上の角が上方へ高く伸びた種はトリケラトプス属から外され、ネドケラトプスという新たな属名が与えられました。
トリケラトプス属の2種は吻部の角で見分けることができ、模式種となるトリケラトプス・ホリドゥスの吻部の角は外鼻孔の上で、上方を向いてのっていますが、トリケラトプス・プロルススの吻部の角は前方へ真っ直ぐ伸びています。

化石で見つかる恐竜の多くは、運搬・堆積され、地層に埋もれる前に、骨がバラバラになっていることが多いですが、まれに全身骨格の関節がつながった状態で残ることがあり、そのような標本から多くの解剖学的情報を得ることができます。全身骨格が見つかったケラトプス科は、これまでにセントロサウルスやスティラコサウルス、アンキケラトプス、バガケラトプスなどが知られていますが、トリケラトプスもそのうちのひとつです。

トリケラトプスの前肢姿勢復元仮説

国立科学博物館(東京)に展示されている全身が関節して見つかった骨格の研究に基づき、トリケラトプスの手の構造や、前肢の姿勢の研究が進められました。その結果、彼らはトカゲのように肘(ひじ)を側方に張り出して歩いたのではなく、多くの哺乳類のように、前肢を体の真下で動かしながら歩いていたことが示されるようになりました。また、手骨格の構造や足跡化石の様子から、トリケラトプスは手の甲を外側に向けて地面に着いていたことも分かってきました。


大量絶滅

地質時代は地層から産出する化石の種類によって区分されていますが、これはそれまで栄えていた生物のグループの多くが絶滅して、新しい生物のグループが進化・発展したという入れ替え = 大量絶滅が起こったことを示しています。多くの生物種で同じ時期に絶滅が起こる「大量絶滅」事件は、古生代以降では5回起こったと考えられていますが、特に古生代・中生代・新生代の境では生物の種類が大きく入れ替わっていて、大規模な大量絶滅が起こったと考えられています。それぞれ古生代と中生代の境はP/T境界(ペルム紀Permianと三畳紀Triassic)、中生代と新生代の間はK/Pg境界(白亜紀ドイツ語のKreide と古第三紀Paleogene)の大量絶滅事件と呼ばれています。


K/Pg境界の大量絶滅 = 恐竜時代の終焉

K/Pg境界

白亜紀末の6600万年前、陸上では恐竜、海ではアンモナイトとそれぞれ中生代を代表する生物をはじめ、首長竜などの海棲爬虫類や翼竜類など多くのグループが絶滅しました。
特に恐竜の絶滅については「火山噴火説」、「気候変動説」、「恐竜類の種としての寿命が来た」などをはじめとして、諸説が入り乱れていました。1980年にアメリカのアルバレズ親子がイタリアのK/Pg境界からイリジウム元素が異常に濃縮した粘土層を発見しました。
これをきっかけとして、「巨大隕石の落下にともなう環境変化によって恐竜を含むK/Pg境界の大量絶滅が起こった」とする考えを提唱し、大論争の末に、現時点ではこの説が正しいと考えられています。その証拠は次のようなものによります。

K/Pg境界

世界各地のK/Pg境界の地層からイリジウム元素が異常に発達した粘土層が見つかっています。イリジウムは地表ではごく微量しか含まれませんが、隕石には多く含まれるので、この粘土層のイリジウムは隕石起原と考えられます。イリジウムを含む粘土層の分布から、隕石の直径は10数kmと推定されます。

・同じ粘土層には、隕石衝突でしかできない二重ラメラをもつ衝撃変成石英が広範囲に含まれています。
・メキシコのユカタン半島で直径180kmの隕石クレーターが地下に存在することが分かり、K/Pg境界の年代にできたことが分かりました。クレーターの非対称な形から南南東方向から衝突したと考えられます。衝突地点は当時、浅い海が広がっている場所でした。
・ユカタン半島周辺のキューバやベリーズなどで、隕石衝突による巨大津波によってできた堆積物や、隕石の衝突によって地球の岩石が溶けて蒸発し飛び散ったものが急冷して降り注いだ堆積物が見つかりました。
・恐竜をはじめとした生物群の絶滅が、白亜紀末に向けて徐々に種が減少するのではなくて、K/Pg境界において突発的に消滅しています。

K/Pg境界

これらの証拠を統合して次のようなシナリオにまとめられています。6600万年前、直径が10kmから15km前後の巨大な隕石(小惑星とよぶ方がふさわしいです)が南南東方向から地球に飛来して、現在のメキシコ・ユカタン半島の先端付近に衝突しました。衝突地点が石膏などの硫酸塩岩が厚く堆積している地帯だったために、衝突で溶けた硫酸塩岩から硫黄が分離して大気中に放出され、大量の微粒子や塵とともに硫黄から変化した硫酸エアロゾルが生じて、地球大気を覆ったと考えられます。これらの影響で最長数年間にわたって太陽光が遮断されて光合成の停止と気温低下などを引き起こしました。さらに硫酸エアロゾルを原因とする有害な酸性雨が地上に降りそそぐなど、環境の激変が起こりました。これらの隕石衝突が引き金となった環境変動が、恐竜をはじめとするK/Pg境界の大量絶滅を引き起こしました。

ユカタン半島の衝突地点から立ち上った高温の衝突蒸気雲は隕石の飛来とは反対の北北西方向、北アメリカ大陸の方向に向かったと考えられます。ララミディアに暮らしていた恐竜たちには、自分たちに向かってくる灼熱の雲のかたまりはどのように映ったのでしょうか。(K.K.)

トリケラトプス展

トリケラトプス展の記事は今回で終わります。
1~9まで、読んで下さりありがとうございました。
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[Tag] * トリケラトプス *  * K/Pg境界
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Comments







非公開コメント
恐竜好きですよ!!
こんにちは。
「トリケラトプス展」シリーズも9回目になりましたね。
恐竜は好きですから興味あります。
岩手に来るなら速攻で行きますよ!

恐竜が好きなので「ジュラシックパークシリーズ」はDVD3巻持っています。
「ジュラシックワールドシリーズ」は、「ジュラシックワールド」は映画館で観てDVDも持っています。「炎の王国」は未視聴です。

今では、ティラノサウルスには羽毛があったことが一般的になってきましたよね。
それが30年前に分かっていたら「ジュラシックパーク」は別物になっていたと思います。

今日は、雨ー曇りー晴れー曇りー晴れー曇りー晴れと目まぐるしく天気が変わりました。

秋になってきましたね。
産直で、リンゴ、ナシ、桃を買ってきました。
秋の味覚も楽しみです。
2021-09-05-16:54 トリトン
[ 返信 * 編集 ]
らいとNGC7000
No Subject
トリトンさんへ

コメントありがとうございました。
映画「ジュラシックパーク」シリーズの成功により、
恐竜に関心を持つ人が増えたそうです。
古生物学の研究を志す人も増えて、恐竜の化石発掘も盛んになっているそうです。

リンゴ、梨、桃のどれから食べましょうか?^^
秋は果物の美味しい季節ですね。

神戸でハシバミの樹を探してみますね。
2021-09-05-17:57 らいとNGC7000
[ 返信 * 編集 ]
No Subject
恐竜は絶滅していないのです。鳥へと進化したのです。
退職してから野菜を作っています。出来るだけ肥料をつかいません。
肥料をつかうなら、野菜を産直で買ったほうが安い気がします。
林道の側溝にたまっている腐葉土をドンゴロスに入れて持ち帰ります。ただです。
2021-09-05-18:23 fukuchan
[ 返信 ]
らいとNGC7000
No Subject
fukuchanさんへ

コメントありがとうございました。
恐竜と鳥の共通点が次々と見つかっていますね。
一部の恐竜が鳥に進化を遂げたと考える研究者もいます。
当時と現代では酸素の濃度も違いますし、どのような変遷、
進化の過程があったのか、これからも新しい事実が明るみになってくると思います。

化成肥料を与えるよりも、林道の側溝の腐葉土が野菜に役立つのですね。
一般の植物にも良さそうです。
ありがとうございました。
2021-09-05-18:41 らいとNGC7000
[ 返信 * 編集 ]
こんばんは
大きな体に表情はユニークで
恐竜の観察は楽しいですね
我が家には置物が鎮座しております
勿論 極小ですが・・・
2021-09-05-20:32 トマトの夢3
[ 返信 ]
らいとNGC7000
No Subject
トマトの夢3さんへ

コメントありがとうございました。
トリケラトプスは草食性の恐竜ですが、
ティラノサウルスと戦うときは勇敢だったでしょう。
実際は想像の世界ですけれども。^^

研究の結果、判明する事実もあれば、
思いを馳せることのできる面もあって、
恐竜について色々考えることが好きです。
置物や、フィギュアを大切にする人の気持が少しわかります。
2021-09-05-20:47 らいとNGC7000
[ 返信 * 編集 ]
No Subject
トリケラトプスは、小柄ながらも大きなことを成し遂げたのですね。
国立科学博物館には一度行きましたが、8時間ほど滞在でき、見応えがありました。

今日は兵庫県の記事がありますので、お時間あればお付き合いいただければ幸いです。
2021-09-06-06:40 utokyo318
[ 返信 * 編集 ]
らいとNGC7000
No Subject
utokyo318さんへ

コメントありがとうございました。

トリケラトプスはケラトプシア類の進化した先の親分です。
まさか小惑星の衝突により絶滅させられるとは、思ってもみなかったでしょう。
けれど、そのおかげで人類の繁栄の道が築かれていくわけで、
地球上の生物の歴史・記録はとても興味深いものですね。
絵文字で描いた兵庫県、楽しく読みました。^^
2021-09-06-07:06 らいとNGC7000
[ 返信 * 編集 ]