高知県人の県民性について。
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●反骨精神にあふれるお国柄
昔の土佐は、京都からみれば遠国中の遠国。中央で失脚したり、反乱を起こした者の流刑地でもあった。平安時代の末期には、源頼朝の弟の希義が流され、兄の挙兵に呼応して兵を挙げたが、あえなく鎮圧されるという事件も起きている。
また、平安時代の応天門の変で首謀者のひとりとしてた逮捕された紀夏井、保元の乱を企てた父親の藤原頼長に連座して流刑となった藤原師長、南北朝時代に元弘の乱で捕らえられた尊良親王らも土佐へ流された。土佐には、こうした都からの流人が住み着いたこともあって、平安時代からすでに反権力・反権威の雰囲気にあふれ、一風変わった気質を育む下地がつくられていた。その風土が、幕末に活躍した勤王の志士、自由民権運動の闘士らを生んだといっても過言ではないだろう。

(高知城と板垣退助銅像)
その高知県は、ほぼ中央の南半分を占める四国最大の県であり、その面積は全国18位と広い。ところが、人間の住める「可住地面積」は日本一狭いのだ。県域のほとんどが山林で、人の住める面積は、日本一小さな香川県のそれ以下だ。さらに、安芸市で阪神タイガースの春季キャンプ中に小雪が舞ったり、雪で高速道路が通行止めになることもあるなど、南国イメージのわりには、1~3月にはけっこう寒い日がある。
そうかと思えば、夏や秋には台風の直撃を受けることもしばしばである。「台風銀座」と異名をとる室戸岬は、1年中海風が吹きつける“強風どころ”となっている。高知県は、基本的には温暖な地でありながら、人々は強風、豪雨、荒波といった厳しい自然と闘いながら生きてきた。土佐のかつおの一本釣りも、荒波の中で生まれた魚との闘いのような漁法である。

(名越屋沈下橋)
●「引く」ことを知らない意地っ張り
そんな歴史と風土のなかでできあがったキャラクターが、土佐の「いごっそう」であり、「はちきん」である。「いごっそう」は、土佐の男性をあらわす言葉で、言い換えれば、頑固一徹。こうと決めたら、テコでも動かない。白黒をはっきりさせたがり、曖昧(あいまい)さを許さない。さらに、わがまま、偏屈、意固地の面もあるので、ひとたび意見が衝突すると双方が譲らない。結局、法廷へ持ち込まれることが多いので、高知県は人口のわりに弁護士の数が多い。
●病気をしても、酒はやめられない?!
また、いごっそうは、筋が通っていれば損をしても引き受けるが、筋の通らないことには見向きもしない。ただ、その気質は移り気と紙一重といえ、仕事が長続きせず、会社でも気に入らないと、ぷいとやめてしまう人が少なくない。
そもそもいごっそうは、妥協が嫌いで、ひと言多いのだから、会社勤めには向かないタイプが多い。高知県人は出世が遅いという説もあるが、辛抱して出世前に辞めてしまうのだから、それもいたし方ない。実際、雇用保険の受給率が常に高いのも、高知県の特徴である。
それでいて、いごっそうは、全国にとどろく大酒飲みでバクチ好き。そんな土地柄だからこそ、坂本龍馬のようなスケールの大きな人が育ったともいえそうだが、男性がわがままな怠け者なら、女性は強くたくましくならざるをえない。「はちきん」とは、働き者でバイタリティーのある高知の女性のことをいう。明るくてやり手で、過去を振り返らずに、がむしゃらに進んでいく。

(山内千代と名馬銅像)
例えば、人口1万人あたりに占める美容室の数が42件軒(2003年)と上位にあるのは、働く女性がせっせと美容室へ通うからでもあるが、それ以上に女性の働き場として人気が高いからでもある。はちきんは、男性に負けず劣らず大酒飲みで、よく飲んでは笑い、よく涙する。わがままないごっそうを支えながら、懸命に生きる姿が浮かんでくる。
ただ、はちきんもまた気が強く、後には引かない性格。思っていることをストレートに口にする。そんなはちきんといごっそうが正面衝突すれば……あいだに弁護士が入るしかなく、またまた弁護士の登場となる。結局、離婚となるケースがおおく、高知県の離婚率は、1950年から68年まで堂々の第1位。その後も、ベスト10の常連である。

(皿鉢料理)
また、毎日のように大酒を飲めば、体がおかしくなるのは当たり前。その結果、一般病院の1日平均在院患者数は人口10万人あたり1888.2人と、病因にかかる人の割合でワースト1位。さらに、脳血管疾患で死亡する割合は、同じく158.4人(2004年)で全国第2位。糖尿病で死亡する割合は、同じく13.2人で第4位である。特に男性の平均寿命は76.85歳と45位で、下から3番目の短命県である。

一方、法務省の統計によれば、人口に占める海外へ出国する人の割合は、全国で43位。国内旅行する人の割合も43位と、あまり県外へ出たがらないのも、高知県人の特徴だ。逆に、首都圏で人気の店が高知へ進出してくるのも、全都道府県の中では、かなり遅い方である。
ちなみに、あるいごっそうに、「高知県人の品格についてですが」と問いかけてみたら、「品格?そんなもの、知らんぜよ。あんたらが勝手に思ってるもんだろ。土佐もんは、そんな世間の常識じゃ計れん」と叱られてしまった……。

(坂本龍馬銅像)
あなたのお国の品性度がわかる本 県民の品格 河出書房新社より
写真は、2022年2月10日に高知県内で撮影しました。
昔の土佐は、京都からみれば遠国中の遠国。中央で失脚したり、反乱を起こした者の流刑地でもあった。平安時代の末期には、源頼朝の弟の希義が流され、兄の挙兵に呼応して兵を挙げたが、あえなく鎮圧されるという事件も起きている。
また、平安時代の応天門の変で首謀者のひとりとしてた逮捕された紀夏井、保元の乱を企てた父親の藤原頼長に連座して流刑となった藤原師長、南北朝時代に元弘の乱で捕らえられた尊良親王らも土佐へ流された。土佐には、こうした都からの流人が住み着いたこともあって、平安時代からすでに反権力・反権威の雰囲気にあふれ、一風変わった気質を育む下地がつくられていた。その風土が、幕末に活躍した勤王の志士、自由民権運動の闘士らを生んだといっても過言ではないだろう。

(高知城と板垣退助銅像)
その高知県は、ほぼ中央の南半分を占める四国最大の県であり、その面積は全国18位と広い。ところが、人間の住める「可住地面積」は日本一狭いのだ。県域のほとんどが山林で、人の住める面積は、日本一小さな香川県のそれ以下だ。さらに、安芸市で阪神タイガースの春季キャンプ中に小雪が舞ったり、雪で高速道路が通行止めになることもあるなど、南国イメージのわりには、1~3月にはけっこう寒い日がある。
そうかと思えば、夏や秋には台風の直撃を受けることもしばしばである。「台風銀座」と異名をとる室戸岬は、1年中海風が吹きつける“強風どころ”となっている。高知県は、基本的には温暖な地でありながら、人々は強風、豪雨、荒波といった厳しい自然と闘いながら生きてきた。土佐のかつおの一本釣りも、荒波の中で生まれた魚との闘いのような漁法である。

(名越屋沈下橋)
●「引く」ことを知らない意地っ張り
そんな歴史と風土のなかでできあがったキャラクターが、土佐の「いごっそう」であり、「はちきん」である。「いごっそう」は、土佐の男性をあらわす言葉で、言い換えれば、頑固一徹。こうと決めたら、テコでも動かない。白黒をはっきりさせたがり、曖昧(あいまい)さを許さない。さらに、わがまま、偏屈、意固地の面もあるので、ひとたび意見が衝突すると双方が譲らない。結局、法廷へ持ち込まれることが多いので、高知県は人口のわりに弁護士の数が多い。
●病気をしても、酒はやめられない?!
また、いごっそうは、筋が通っていれば損をしても引き受けるが、筋の通らないことには見向きもしない。ただ、その気質は移り気と紙一重といえ、仕事が長続きせず、会社でも気に入らないと、ぷいとやめてしまう人が少なくない。
そもそもいごっそうは、妥協が嫌いで、ひと言多いのだから、会社勤めには向かないタイプが多い。高知県人は出世が遅いという説もあるが、辛抱して出世前に辞めてしまうのだから、それもいたし方ない。実際、雇用保険の受給率が常に高いのも、高知県の特徴である。
それでいて、いごっそうは、全国にとどろく大酒飲みでバクチ好き。そんな土地柄だからこそ、坂本龍馬のようなスケールの大きな人が育ったともいえそうだが、男性がわがままな怠け者なら、女性は強くたくましくならざるをえない。「はちきん」とは、働き者でバイタリティーのある高知の女性のことをいう。明るくてやり手で、過去を振り返らずに、がむしゃらに進んでいく。

(山内千代と名馬銅像)
例えば、人口1万人あたりに占める美容室の数が42件軒(2003年)と上位にあるのは、働く女性がせっせと美容室へ通うからでもあるが、それ以上に女性の働き場として人気が高いからでもある。はちきんは、男性に負けず劣らず大酒飲みで、よく飲んでは笑い、よく涙する。わがままないごっそうを支えながら、懸命に生きる姿が浮かんでくる。
ただ、はちきんもまた気が強く、後には引かない性格。思っていることをストレートに口にする。そんなはちきんといごっそうが正面衝突すれば……あいだに弁護士が入るしかなく、またまた弁護士の登場となる。結局、離婚となるケースがおおく、高知県の離婚率は、1950年から68年まで堂々の第1位。その後も、ベスト10の常連である。

(皿鉢料理)
また、毎日のように大酒を飲めば、体がおかしくなるのは当たり前。その結果、一般病院の1日平均在院患者数は人口10万人あたり1888.2人と、病因にかかる人の割合でワースト1位。さらに、脳血管疾患で死亡する割合は、同じく158.4人(2004年)で全国第2位。糖尿病で死亡する割合は、同じく13.2人で第4位である。特に男性の平均寿命は76.85歳と45位で、下から3番目の短命県である。

一方、法務省の統計によれば、人口に占める海外へ出国する人の割合は、全国で43位。国内旅行する人の割合も43位と、あまり県外へ出たがらないのも、高知県人の特徴だ。逆に、首都圏で人気の店が高知へ進出してくるのも、全都道府県の中では、かなり遅い方である。
ちなみに、あるいごっそうに、「高知県人の品格についてですが」と問いかけてみたら、「品格?そんなもの、知らんぜよ。あんたらが勝手に思ってるもんだろ。土佐もんは、そんな世間の常識じゃ計れん」と叱られてしまった……。

(坂本龍馬銅像)
あなたのお国の品性度がわかる本 県民の品格 河出書房新社より
写真は、2022年2月10日に高知県内で撮影しました。
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[Tag] * 県民性
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コメントありがとうございました。
活発で物おじしないという人柄が表れているかもしれません。
お互いに思っていることをはっきりと伝える。私は良い面だと思います。
高知県は広く太平洋に面しています。
どこへ旅行へ行くのも遠く感じることだと思います。
その中では中国地方、近畿地方はバスの便が良いですので、
比較的行きやすいですね。私はまだまだ見たいところがあります。
再訪したいですよ。
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