佐賀県人の県民性について
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佐賀県人●超マジメでジョークも通じないってホント?!
●質素に、地道に、硬派に生きる
明治維新で重要な役割を担った藩をまとめて「薩長土肥」と呼ぶ。西郷隆盛の薩摩、木戸孝允の長州、坂本龍馬の土佐が入っているのは当然としても、なぜ肥前(佐賀県)が入っているのか、よくわからないという人もいるのではなかろうか。肥前は、幕末、鍋島閑叟(なべしまかんそう)という名君を得て、西欧型の技術力・軍事力を蓄え、幕末ぎりぎりの段階で官軍に加わったのである。とりわけ、江戸・上野にこもっていた彰義隊を壊滅させるため、肥前のアームストロング砲が大いに貢献した話は有名である。現在の東京大学から、不忍池を越えて、寛永寺へ砲弾が撃ち込まれると、彰義隊は大混乱に陥り、わずか1日で壊滅したのだった。

この活躍で、肥前藩の実力は天下に知られ、明治政府に、江藤新平や大隈重信といった肥前出身の人材が多数登用されることになった。そもそも、肥前藩は、参勤交代の際、午前4時には出発したというほど、貧しい藩だった。遠国ということもあって、1泊でも宿泊数を減らすため、一日中歩き続けたのである。ところが、有明海を干拓して農地を増やすと、科学技術の研究に取り組み、幕末には日本初の製鉄所や蒸気船を作ったり、当時の最新兵器であるアームストロング砲をほぼ自力で完成させていた。先を見据えた努力によって、幕末期には、最も近代化された藩の一つとなっていたのである。
と同時に、教育にも力を入れ、多くの優秀な人材を育てていた。しかも、そうした事実を幕府や他藩に対して秘密にするため、藩を鎖国状態にする徹底ぶりだった。そして、幕末の動乱が始まっても、自らの態度を表明することなく、静観を続け、戊辰戦争のまさに山場というときにベールを脱いで、その実力を見せつけて、他藩の度肝を抜いたのだった。また、鍋島藩では、「武士道とは死ぬことと見つけたり」という文言があまりに有名な『葉隠』が武士の生き方のバックボーンになっていた。恥を知ることで、軟弱な生き方を否定し、武骨に生きることを説いた藩である。むろん、この藩が、富国強兵のために、経済を統制し、領民に徹底的な質素、倹約を求めたことはいうまでもない。

●男も女も働き者ぞろい
こうして、肥前藩では、努力や勤勉が美徳となり、規則や秩序、気品を重んじる気風が培われた。明治時代以降も、鉄やガラス、油脂、製紙、紡績、印刷といった技術を磨き、地場産業を発展させた。といっても、明治維新からすでに150年。今の佐賀県の若者に『葉隠』を読む人は少ないだろうが、その気質は年とともに薄まりながらも、連綿と生き続けている。特に40代以上の佐賀県人には、他の九州人と比べても、泥くさく、真面目、几帳面、堅物、人間としての品位を重んじるというイメージが濃厚だ。島田洋七による自伝的小説やテレビドラマで有名になった『佐賀のがばいばあちゃん』は、その典型のひとりだろう。データを見ても、佐賀県人の実質労働時間は、男性が月間188時間、女性が月間176時間で、ともに全国3位(2005年)にランクされている。男女とも実に、働き者なのである。その仕事ぶりは、大きなミスなく、コツコツと仕事をしていく堅実タイプ。さらに、地道に努力するのが美徳という土地柄ゆえ、、昔から司法試験に挑戦する人が多い県でもある。

●素顔はナイーブで神経質?!
今、昔の質素・倹約の精神の名残を感じさせるのは、ゴミの排出量が全国で一番少ないこと。それに、支出に占める教養・娯楽費が全国40位と、遊びを我慢するところも肥前藩の子孫らしい。また、佐賀大学の授業料は、国立大学でももっとも安い。2005年(平成17)に全国の国立大学の授業料の標準月額が1万5000円引き上げられた時も、佐賀大学だけは、学生の負担増に配慮して値上げを見送っている。

だが、その一方で、社交性やおおらかさに欠け、自分と向き合う傾向が強いといわれる。そして、自分と向き合うなかで追い詰めてしまうのか、佐賀県は、家出人の割合が全国で1、2を争うほど多いことでも知られている。隣りの福岡県人が、都会的で遊び上手であり、楽しそうに暮らしていることも、ふと家出してしまう原因かもしれない。また、がん、高血圧症による死亡率が、ともに全国6位(2005年)と高いのも、佐賀県人の特徴である。最も、同じ佐賀県内でも、北の唐津市や伊万里市、東の鳥栖市は、福岡市にも近く、どちらかといえば明るくスマートで、物わかりのよいタイプが多い。また、男性に比べると、女性には明るい人が多いようだ。ただ、佐賀の男性が質実剛健の気風を残しているだけに、佐賀の女性はチャラチャラした男性にはなびきにくいといわれる。
あなたのお国の品性度がわかる本 県民の品格 河出書房新社より

写真は、2022年5月3日に山手バラ園で撮影しました。
今日も良い一日をお過ごしください。
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